競技参戦への準備と心構え
どのカテゴリでも競技参戦に必要なものと条件が決まっています。
基本的に最初は初級レベルの競技会にしか参戦できず、競技会の実績(完走および入賞)を積み上げて上位レベル競技会の主催者に認められて初めて上位競技会にステップアップすることができます。
※主催者推薦でいきなり上位レベルの競技会に参加できる場合もありますが、それも主催者が客観的に判断して運転技術に問題ないと認めた場合のみです。
ここではドライバーとして競技会に参加する場合に必要なものと条件などを紹介します。
【カテゴリ共通】ドライバーとして競技会参加に必要なものと参加条件
必要なもの
◇普通自動車運転免許証
◇JAF個人会員
◇モータースポーツライセンス
◇参加記録カード
◇健康管理カード
◇参加条件を満たした競技車
◇参加条件を満たしたヘルメットなどの装備品
参加条件
◇普通自動車運転免許証が有効であること
◇JAF個人会員の有効期限が切れていないこと
◇既往症や中毒症状などがなく運転に支障がないこと
◇競技会の参加条件に合致した競技車であること
◇競技会の参加条件に合致した装備であること
◇競技会の参加費用の事前払込みおよび指定の保険に事前加入すること
競技会のカテゴリを問わず免停など、自動車を運転することが認められていない状態では競技会に参加できません。
国内競技会については、日本のモータースポーツの唯一の管轄機関であるJAFにて競技規則書が開示されており、これに加えて各競技会やシリーズ毎に主催者により特別規則書が制定されていて、競技会への参加は基本的にこの特別規則書に沿う必要があります。
以下、モータースポーツのみに必要な要件に特化して紹介します。
モータースポーツライセンス
モータースポーツを始めるにあたって最初に取得できるライセンス種類は決まっています。
【最初に取得するドライバーライセンス】
[四輪自動車]
◇国内B
[レーシングカート]
◇カートジュニア国内B(10歳~14歳)
◇カート国内B(15歳~)
国内Bであればラリー/ダートラ/ジムカーナに参加できます。
ナンバー付きレースのNゼロは国内Aが必要です。
その他、レースや国際格式の競技会等、カテゴリによってライセンス種別も異なりますが、基本的にある一定のライセンス種別以上の上級ライセンスは競技会での完走や入賞がライセンスの年度更新条件となっていて、実質プロドライバーでないと所持できない条件設定になっています。
ライセンスの種類や取得方法等、詳細はモータースポーツライセンスの種類と取得方法を参照ください。
参加記録カード
モータースポーツライセンスを取得すると自動的に付与されます。
競技会に参加した証明を残すためのカードで、通常競技会終了後に主催者から所定のハンコを捺印してもらいます。
参加記録カードの捺印がないと競技会の参加実績として認められないので、競技会参加時は忘れないように携行しましょう。
【表面】
【裏面】
健康管理カード
競技に参加する運転者(ドライバー)の健康管理をするためのカードで、事前に署名して競技会参加時には携行する必要があります。
携行を忘れるか、携行しても裏面の署名および必要事項の記入が無い場合は競技会への参加を拒否される場合があるので注意しましょう。
【表面】
【裏面】
モータースポーツ装備品
競技のカテゴリや格式によって必須ではないものもありますが、最初から揃えておくに越したことはありません。
競技用装備品は厳しい規格をクリアしているので安全面からという点ももちろんあるのですが、使い込まないと自分にフィットした物が見つからない、という側面もあるからです。
レーシングスーツ
様々なメーカーから販売されていますが、基本的にMFJ(財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会)公認かFIA公認のものをおすすめします。
初級競技会ではレーシングスーツでなくても長袖・長ズボンで肌が露出しなければOKというのもありますが、レーシングスーツは難燃素材で出来ており関節部分には衝撃吸収用のパッド、両肩にはベルトが配置されています。
両肩のベルトは車両横転などで運転者が脱出できない場合、肩のベルトに引っ掛けて運転者を車の外に引っ張り出すためのものです。
初級者だし、そんな車を横転させるほどスピード出せないよ、なんて話を耳にする事もありますが、例えば時速20kmほどでも土手とかにタイヤを引っ掛けるといとも簡単に車は横転します。
ダートラだと練習会でも見られる光景ですね。
レーシングスーツの価格は10万円前後からとそれなりにしますが、上級格式の競技ほどレーシングスーツの規格がないと参戦できないのと、安全面を考慮しても最初から購入しておくことをおすすめします。
競技用ヘルメット
様々な規格があるのですが、一番気をつけなければいけないのは
’競技に参加できる規格は限られている’
ということです。
◇JIS2種規格
◇MFJ規格
◇SNELL(スネル)規格
これらいずれかの規格を持たない場合は、おおよその競技会に参加できないのではないでしょうか。
どの規格が必要かは参加する競技会の特別規則書か、もしくは主催者に直接確認しましょう。
それと是非購入を検討して欲しいのがHANS(Wikiリンク)です。
通常身体はシートベルトで固定されていますが、首は固定されていません。
なので、車が衝突した際、首を軸にして頭だけが急激に前に投げ出される形になります。
ヘルメットの重さと相まって頚椎損傷や脳の損傷を招く可能性があり、プロドライバーの死亡事例もあります。
衝突時の衝撃は絶対に首の筋肉で耐えられるレベルではありません。
HANS対応ヘルメットやHANSシステムで一式20万円くらいははかかるし初級競技会では必須ではありませんが、何よりもまず第一に装着を検討して欲しい装備です。
レーシンググローブ
モータースポーツでは必須アイテムです。グローブを装着しなくていい競技会はありません。FIA公認競技でない限り参戦にFIA規格まで求められることはないと思いますが、逆に言うとFIA公認グローブを購入しておけば間違いないでしょう。
フィット感や耐久性、ステアリングに対する滑り具合は重要で、ラリーのような長時間の競技ではグローブが合わないと指が痛くなることもあります。
どのメーカーの製品が自分にフィットするかは購入して競技で使ってみるしかないので、消耗品でもあるし割り切っていろいろ試してみましょう。
レーシングシューズ
普通のスニーカーでも参加OKな競技会も多いのですが、これもHANSと同様購入を強くおすすめします。規格や使用に関してはおおよそレーシンググローブと同じなのですが、強くおすすめる理由は、’雨’ です。
雨が降った時はシューズが濡れる可能性があり、いざフルブレーキング!って時に足がペダルから滑ったらシャレになりません。
レーシングシューズだとスニーカーとかとは比較にならないくらいペダル感覚が掴めるので、上達のためにも最初から購入することをおすすめします。
競技車の製作
個人で改造できる範囲は限られるし、ブレーキ周りなどの重要保安部品のメンテナンスは整備士資格が必須です。
ましてやモータースポーツカテゴリに合った競技車となると、ノウハウを持ったモータースポーツショップに競技車製作をお任せするのが最善です。
下記リンクからJAFにクラブ加盟しているモータースポーツショップを全国都道府県別に検索できます。
ショップ毎に競技車製作の得意分野が異なりますが、まずは自分の居住地近くのモータースポーツショップを検索してみましょう。
【JAF】全国モータースポーツクラブガイド
カテゴリごとの競技車のおおよその仕様と製作については、
競技車両製作のポイント
を参照ください。
競技会開催情報のチェックとJAF加盟クラブへの参加
興味のある/参加してみたいカテゴリが決まったら、競技会がいつ・どこで開催されているかチェックしましょう。
モータースポーツライセンスを取得すれば、JAFから定期的に「JAF Mate」誌と一緒に
「JAF Motor SPORTS」誌
が郵送されます。
「JAF Motor SPORTS」誌には、A級ライセンスやオフィシャル審判員などの講習会情報や、競技会カレンダー情報などが掲載されています。
JAF Motor SPORTSサイトにも競技会情報が掲載されていますが、一番おすすめなのは、
地元のJAF加盟クラブに登録
して競技会情報をクラブ員と共有することを強くおすすめします。
◇競技会参加時にチーム員の協力が得られる(カテゴリによっては協力がほぼ必須)
◇競技会の特徴など参加経験者でしか知りえない情報を得られる
◇競技車の売買情報やセッティングのコツなどの情報を得られる
◇上級者にドライビングテクニックを教わる機会を得られる
◇クラブによってはスポンサーを紹介してもらえる場合がある
モータースポーツは初めるときだけでなく、続けるにも多大なお金が必要になります。
それだけでなく、例えばラリー参戦に必須のコドライバー(ナビゲーター)は未経験者がすぐにできる代物ではありません。
長く続けてかつ短期間で速くなるためにはクラブへの参加が最善です。
下記サイトで都道府県・地域ごとのクラブ検索ができますので、まずは立ち寄ってみていろいろな話を聞くのがいいでしょう。
【カテゴリ共通】練習会への参加
ラリー以外のダートラやジムカーナ、レースが開催されるサーキットは練習会が随時開催されています。
費用はそれなりにかかりますが、公道では味わえないスピードや車の動き、車の操作を試すことができるので、競技に初めて参加する方は是非事前に練習会にも参加することをおすすめします。
【カテゴリ共通】ドライバーとして競技会に参加するときの準備
初めての競技会への参加は誰でも緊張すると思います。
私個人の感想ですが、やはり少しでもいい成績を残そうと無理をしてしまう場合が多いかと。
無理をして車を壊してしまったりリタイアしてしまうと成績が残らないので、まずは
完走
を目標にしてみましょう。
そして体調が万全でないと普段の力が出せないばかりか、とっさの判断や反応の遅れによりミスを誘発することになりかねません。加えて気をつけておきたいのが忘れ物ですね。
備えあれば憂いなし。
当日慌ててしまわないように万全の準備で競技会に臨みましょう。
【事前チェック項目一覧】
◇競技車は数日前~前日に不備がないかチェックしておく
点検項目
車検証/任意保険証
灯火類(ウィンカーやバックランプ等のランプ切れがないか)
ワイパー
クラクション
タイヤ
エアゲージ
ジャッキ
スペアタイヤ
三停板
発炎筒(期限切れ要注意)
救急箱(競技によって)
工具類(最低限タイヤ交換できるレンチ必要)
車体下回りの破損やボルト緩み(特にダートを走る車)
社内装備品の動作チェック(ラリーコンピューター等)
◇競技参加に必要なものをチェックして枕元や玄関先などにまとめて置いておく
点検項目
自動車運転免許証
モータースポーツライセンス
競技会参加証など競技会に関する書類一式
参加記録カード
健康管理カード
ヘルメット
グローブ
レーシングスーツ
レーシングシューズ
その他競技によって必要なもの
◇競技会前日は早めに就寝する
◇大会会場までの道順やおおよその距離を確認
⇒シーズンによって渋滞に巻き込まれるので移動時間に余裕をもって出発する
それと意外と見落としがちなのですが、競技会には家族や友人などに
競技車とは別の車
で応援に来てもらうことを強くおすすめします。
競技会場は郊外にある場合がほとんどで、競技車が破損して帰宅できないことも十分考えられます。
レッカー車に同乗はできないし、タクシー呼ぶにも数万円コース。。。
なんてことも想定できるので、参加が決まったら是非応援にきてもらえるように早いうちからお願いしておきましょう。
知り合いがいると心強いし何より安心できますね。
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